大分市議会議員

甲斐たかゆき

2019年度9月議会の一般質問(1)少年自然の家について

2019.09.06

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2019年度 第3回定例会・9月議会 一般質問原稿

9月6日(金) 1番目(全体としては 1番)

 

1.「少年自然の家」のあり方について

「のつはる少年自然の家」の利用状況

今回は、社会教育施設の中でも「少年自然の家」について質問させていただきます。まず「社会教育法」では、社会教育のための施設として、図書館、科学館なども含めての博物館、公民館、図書館などがあげられています。また「社会教育法」には明記されていないものの、スポーツ公園、プール、青少年宿泊訓練施設なども社会教育施設と考えられています。「宿泊体験」ができる施設として、「少年自然の家」と呼ばれているものが代表的な施設としてあげられます。「少年自然の家」は、日本国内では1970年以降、政府が積極的に国庫補助金を支出して地方自治体で設置してきた青少年のための社会教育施設です。大分市では現在、「のつはる少年自然の家」があります。野津原地区の恵まれた自然環境の中で、組織的・計画的に一定の教育目標を持って行われる自然体験活動を通して、情操や社会性を豊かにし、心身ともに健全な青少年の育成を図ることを目的として平成6年(1994年)5月に設置されました。また平成18年(2006年)4月より、生涯学習の場として広く成人団体や家族利用も開始したと、うかがっています。私も教職員時代にこの「のつはる少年自然の家」を5年生担任として幾度も子どもたちとともに利用しました。またジュニアバレーボールの指導者としても合宿練習の場として何度も利用しました。利用の目的にそれぞれ違いはあるものの、仲間たちと宿泊の体験をするといった普段の生活とは違う体験に、子どもたちは心を弾ませていました。もちろん不安を抱えている子どももいましたが、自然あふれる環境の中での活動を進める内に、次第に笑顔になっていったものでした。特にここにしかない400㎜反射式天体望遠鏡での天体観測や屋上に寝転んで見た満天の星空のすばらしさは、言葉に表せない感動の体験で、子どもたちの心に残っています。教え子たちとの思い出話の中にもたびたび登場する話題です。このすばらしい施設が、これからも子どもたちの貴重な体験の場となっていくために、いくつか質問させていただきます。

 

それでは質問します。

現在の「のつはる少年自然の家」の利用状況をお聞かせください。

 

☆年間を通して多くの利用者があること、大分市内の小学校5年生が年間計画にそって、必ず利用し、貴重な体験をしていることが確認されました。

 

中学校の利用について

大分市内では、小学校5年生が宿泊体験学習の場として「のつはる少年自然の家」を利用しています。中学校においては、1年生が宿泊体験学習を行っています。この活動の場として利用していた大分市立の「うすき少年自然の家」が老朽化し耐震性などの課題もある中、2012年度末で廃止になりました。代わりとして県立の他地域にある施設などを利用してきましたが、その中の大分県マリンカルチャーセンターが2018年4月に休止したことで、大分市内の中学校、特に大規模校において利用施設が限定されるなど、対応に課題が出てきていると聞いています。また県立などの施設は、どの施設も遠方にあり、移動時間がかかり貴重な体験活動の時間が制限されてしまうこと、施設周辺に医療機関が少なく急病人発生時などに不安がともなうこと、どの施設も老朽化してきていることなど、それぞれ課題があがっているとも聞いています。これら学校現場からの声を受け、昨年度より「のつはる少年自然の家」を大分市内の中学校が利用しやすくなるように手だてを講じているとうかがいました。

 

それでは質問します。

中学校がこれまで以上に利用しやすくなるための方策などをお聞かせください。

 

☆小学校5年生での利用時とは違う体験プログラムの提案、飯盒(はんごう)炊爨(すいさん)活動や避難所体験活動なども計画予定であることなど、新たにさまざまな方策に取り組んでいただけるようで、今から楽しみです。ありがとうございます。今後とも中学校現場の声はもちろんのこと、利用している学校現場の声を集約し、より利用しやすくなるように、活動事例を増やしていってください。

 

施設の改修計画について

現在、新たな体験プログラムを作り、中学校が利用しやすくなる方策を進めていっているわけですが、それだけでは利用促進の効果をあげることはできないと思われます。それは、「のつはる少年自然の家」もすでに建設から25年ほど経過していることです。私も先日、3年ぶりに「のつはる少年自然の家」を訪問してきました。これまでにも改修工事などが行われていますので、それほどまでに老朽化してきているという感じはありませんが、今後より多くの利用者を受け入れることを考えると施設の計画的な改修が必要と思われます。

 

そこで質問します。施設の改修計画についてお聞かせください。

 

☆幅広い年齢層での利用が進むための施設の改修を計画的に行っていることがわかりました。先ほどの繰り返しになりますが、この改修工事などについても、利用している学校現場などの声を集約しながら、今後とも「のつはる少年自然の家」が、貴重な宿泊体験活動ができる施設として、必要な改修などを進めてください。

 

④県立などの施設の利用状況について

さて、これまで「のつはる少年自然の家」のことを中心に質問させていただきましたが、大分市立として以前は「うすき少年自然の家」がありました。私自身はジュニアバレーボールの指導者などとして、この「うすき少年自然の家」への宿泊経験もあります。また中学校教職員の仲間からも海での体験活動ができる「うすき少年自然の家」のすばらしい環境を聞いていました。確かに宿泊棟から活動場所である海岸までの階段での移動が大変だったことや「のつはる少年自然の家」以上に天候に影響される活動であることなど、課題があったことも事実ですが、それ以上に貴重な「海」での野外活動ができていたことも大きな実績です。廃止が決まった当時、とても残念に思いました。

当時の資料を振り返ってみますと、「うすき少年自然の家」を廃止するにあたり、『「のつはる少年自然の家」をはじめ、県の類似施設など代替(だいたい)施設の確保が可能』という見解を出していたことがわかりました。当時と現在では、施設の状況や学校現場そのものにもさまざまな変化が生じてきているのではないでしょうか。確かに施設としては、現在も県立の「香々地青少年の家」と「九重青少年の家」があり、別府市には「少年自然の家おじか」、日田市には「鯛生たいおスポーツセンター」があります。しかしながら、「うすき少年自然の家」が廃止となった平成25年(2013年)と比べて各施設の現状も変化してきているのではないでしょうか。

 

そこで質問します。中学校が利用する県内で宿泊体験ができる公共施設の利用状況についてお聞かせください。

 

☆ それぞれの施設の収容人数と大分市立中学校の利用校数などの最近の利用実態を確認することができました。

 

⑤新たな「少年自然の家」建設について

ご答弁していただいた施設について、私も調べてみました。

「香々地青少年の家」までは、およそ79km(1時間30分)

「九重青少年の家」までは、およそ55km(1時間10分)

「少年自然の家おじか」までは、およそ17km(35分間)

「鯛生(たいお)スポーツセンター」まではおよそ97km(1時間45分)

往復のバス代金等は全額、公費で補助していただいているとうかがっていますが、一部施設を除いて、やはり移動にかなりの時間を必要とします。移動時間がかかるということは、その間に車酔いの心配もありますし、何より活動の日程に制約が生じてくるということです。また遠方の施設を利用する場合、何度も現地に出向いて下見をするわけには行かず、事前計画や打ち合わせにおいて出てきた課題に対応するために、別に多くの時間をかけてしまうことも予想されます。さらに各施設とも建設時期に違いはあるものの、開所日が昭和48年(1973年)や昭和54年(1979年)といった施設もあり、老朽化してきているとうかがっています。それぞれの施設で部分改修は行われているものの、エアコンが設置されていない宿泊棟があったり、網戸の設置がなかったりなど、気温や湿度が高くなる時期の対応に苦慮している状況だとうかがっています。暑さ対策のために、扇風機などを持参した学校もあると聞いています。このような事態に関わる教職員の方々は、子どもたちの貴重な体験活動のために事前調査から当日の運営まで、さまざまな工夫と準備をするわけですが、教職員の「働き方改革」を考えたときに、実際の子どもたちと向き合う時間確保のためにも、施設面の課題は解決していかねばならないとことだと考えます。

さて「少年自然の家」の今後のあり方に話しを進めます。私たちの住む大分市には豊かな自然がたくさんあります。しかも大分市には、比較的近隣に、山間部の自然と海辺の自然の両方があると思います。それぞれの自然の良さを味わって欲しい。自ら体験することで、大分市の良さ、自然豊かな生活環境を体感して欲しいと願っています。そのような自然豊かな大分市において、山間部での体験活動ができる「のつはる少年自然の家」は存在していますが、「海」資源を活かした宿泊体験ができる施設がない状況が続いています。海での体験活動ができないままでいいのでしょうか。このことについて、大分都市広域圏とも関連して述べさせていただきます。大分都市広域圏には、豊後大野市や竹田市、由布市などが含まれていますが、この3市はおもに山間部の自然が豊かな地域です。これら地域にある小学校や中学校からも「海」での体験活動ができる施設を探している、ぜひ「海」での体験活動を宿泊体験学習に組み入れたいのだがどこか施設はないものだろうかという声を聞きました。大分都市広域圏をリードする大分市として一考する価値のある課題だと思われます。

 

そこで質問します。「海」での活動が行える新たな「少年自然の家」を大分市が建設してはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。

 

☆ 相互利用、県との連携、プログラムの更なる充実 など

「のつはる少年自然の家」の増築

県立などの社会教育施設の改修改築を進めいくように関係機関に働きかける

新たな施設に対してのニーズなどの調査・検討を周辺市町村とともに行う

などを要望します。