大分市議会議員

甲斐たかゆき

2018年度9月議会の一般質問(2)病児保育について

2018.09.11

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2018年度 第3回定例会・9月議会 一般質問 甲斐高之 資料

9月11日(火)8番目

 

2.病児保育について

①病児保育の現状について

 次に、病児保育についてお尋ねします。子どもをもつ共働き家庭の保護者が悩むのは、子どもが病気になったときです。その負担はほとんどが女性にかかっているのが現状です。少し古い資料となりますが、2003年7月に日本労働研究機構がまとめた『育児や介護と仕事の両立に関する調査』によると、「過去1年間に子どもの看護のために休んだ日数」は、男性では「0~3日」が79.8%、「4~5日」14.0%、「6~10日」4.5%であるのに対して、女性では「0~3日」は34.6%、「4~5日」18.3%、「6~10日」18.3%、「11日以上」28.3%となっていて、女性への負担のかたよりは明確に数値で表れていました。そして現在も同様の傾向であると思われます。また、この調査で「仕事をやめた理由」を聞いたところでは、24.2%が「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」と答えており、そのうちの3割が「子どもの病気で度々休まざるを得ないため」を理由としていました。このようなことからもわかるように、本来的に求められる子育て支援は、子どもが病気のときに気兼ねなく休むことができる休暇制度の確立であると考えます。その上で、休めない場合に、いつでも使えるような病児・病後児保育施設を整備することが大切であると思われます。本市はこれまで、保護者の就労と育児を支援し、病児保育によって、病気の子どもたちに少しでも快適な環境とケアを提供することで、子どもの健康と幸せを守ることにつながるという考えのもと、病児保育の拡充に努めてきていただけていると理解しています。このあたりのことにつきましては、昨年度の第1回定例会で、エイジ議員や穴見議員が、病児保育について質問し、整備事業について答弁していただいたことからもわかるところであります。あれから1年あまり経ちましたので、改めて現状を共通理解することで、子どもたちと保護者の方々のためになる制度構築を勧めていくために今回取り上げさせていただきました。

 

そこで質問します。本市の病児保育施設の現状及び利用状況についてお聞かせください。

 

②病児保育に対する本市の方針について

 このような病児保育の体制については、本市作成の「病児保育のご案内」のプリントや「大分市子育て応援ガイド」の冊子、さらには「子育て支援サイトnaanaなあな」等にも広報しています。しかしながら、多くの市民は、過去の自分の経験や人づての話しから「施設が少ない」「時期によっては定員がいっぱいで預けられなかった」「利用しにくい」などの気持ちを持ち続けている実態もあると思われます。今回の質問を作成していく上で、過去に病児保育の利用経験がある友人や現在子育て中の知人などに取材をしました。その中でも同様の感想が出てきました。なぜこのようになるのかを考えてみると、子育てという期間が限られている特性があると思われます。子育てまっただ中の時期の場合、保育所のこと、病児保育ことに対して、預かってもらっているという立場上、制度的に不満があっても言い出しにくい環境にあると思われます。また日頃から育児と就労に追われ、制度上の改良点などに気づきにくいということもあるようです。病児保育施設の利用を体験したことで、後になって振り返ってみると、「こんな風になってくれるともっと良かったな」「こんなところを改善して欲しかったな」と具体的に改善点がわかってくるようです。

 

そこで質問します。利用者の声をどのように把握しているのか具体的にお聞かせください。

 

 今後は、より幅広い年代層に、特に子育てを経験した方々から、これまでの体験から気づいたことや要望、意見などを把握し、より利用しやすい制度構築に役立てていただきたい旨を要望し、続きの質問にうつります。

病児保育は大きく三つに分けられると聞いています。一般的なのが、病気の子どもや回復期の子どもを預かる「病児・病後児対応型」です。これは施設を運営する団体に対して自治体が委託または運営費を補助し、医療機関や保育園などが実施しています。このほか、保育中に具合の悪くなった子どもを預かる「体調不良児対応型」、看護師らが自宅を訪問する「非施設型(訪問型)」があることもわかりました。私は、昨年度、浜松市に病児保育施設の調査研究に行かせていただきました。そこでは、病児保育施設拡充の方策として、既存の保育所の施設改築などに合わせて、保育所内に病児保育室を増築する方法を行っていました。専門のスタッフがいるものの病院が運営しているわけではないので、私自身、実際に病気の子どもを預けることを想定したときに若干の不安を感じました。利用状況の統計からも保育所内の施設よりも医療機関に併設された施設の利用がかなりの数で多くなっていました。

 

そこで質問します。本市の病児保育の方針についてお聞かせください。

 

利用の動向を見ながら、今後も施設の拡充について検討していただけるようですが、利用者が横ばい状態だからといって、ニーズがそこまでなのかということで片付けられないのが病児保育事業の難しさだと思っています。潜在的なニーズはまだまだあると思われます。また季節によって利用状況の差があるために運営面を考慮すると一律に定員を増やせないといった事情もあると思います。しかし、いざという時のために、身近に病児保育施設があること、その施設が利用しやすくなることは、子育て世代の方々にとっての安心、仕事と子育てを両立させていくためのエネルギーであり支えであると思います。そこで、先ほどご答弁いただいた方針を踏まえて、より利用しやすい施設、制度となるために、今回取材した際に出されたいくつかの声を整理して紹介させていただき、要望としたいと思います。

現在、施設の開設時間と受付時刻は同じになっています。つまり前日の予約受付が可能なのは夕方までになっているわけです。施設の開設時間は現状のままでもいいので、受付時刻を数時間遅くまで延長していただきたいという声です。同様に、当日の朝についても予約受付時刻だけでも早くして欲しいとの声です。また、インターネットやスマートホンの活用で、前日夜に次の日の予約状況がわかるようになると、少しでも子どもと過ごす時間の調整ができるとの声でした。もちろん施設のさらなる増設や開設時間の拡充などの声もありました。これらの声は、育児と仕事をこなしながら懸命に我が子と向き合おうとする保護者の方々の切実な訴えだと思います。少しでもこれらの意見を参考にしていただき、施設の拡充とともに、より利用しやすい施設、制度となることを強く要望し、次の質問にうつります。