大分市議会議員

甲斐たかゆき

視察報告書「広島市の平和教育行政」について

2020.01.20

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写真左から

馬見塚市議、岩崎市議、甲斐、高松市議

 

【視察期間】 2020年1月20日(月)

【視察先】  広島県広島市

【調査項目】 平和教育行政について

【調査概要及び所感】

広島市では、子どもの平和に関する意識実態や変化を把握して、被爆体験を原点とした広島市の平和教育を充実するための資料を得るために、1995年度(平成7年度)から小・中学校において5年ごとに調査を実施し、高等学校では2010年度(平成22年度)より実施しているとのことでした。この「平和に関する意識実態調査」の結果を受け、各学校における平和教育の実践のさらなる充実を図るために、さまざまな事業が行われています。大きなテーマとして「被爆体験の確かな継承と平和について自らの意見や提言等の発信」を掲げ、①こどもたちの平和学習推進事業、②小・中・高校生によるヒロシマの継承と発信、という2本の事業を系統的に推進しています。

①(1)平和教育プログラムの推進 (2)被爆体験を聴く会等の開催

(3)平和を考える集い等の開催 (4)平和教育アーカイブスの実施

②(1)こどもピースサミット   (2)ひろしま子ども平和の集い

(3)「平和への誓い」アクションプログラム

(4)伝えるHIROSHIMAプロジェクト

まず、平和教育プログラムの推進は、6年前より実施し、小学校1年生から高等学校3年生までの12年間を見通した指導内容の体系化を行い、体験的な学習等を取り入れたプログラムとなっていました。また、この内容を系統的に取り扱えるような共通テキストを4冊作成していました(小学校低学年用・小学校高学年用・中学校用・高等学校用)。これらプログラムやテキストが、発達段階に即して目標や内容が設定されていることはもちろんですが、「未来志向の学習内容」「主体性を育成する指導法」といった点も大切にして構成されていることに感銘を受けました。今後に継続していくための大事な視点だと思います。

次に、こどもピースサミットの取り組みでは、広島市の小学校6年生全児童が平和についての作文を書き、校内選考を経て、市内全域で選考された20名の児童が意見発表を行い、協力して「平和への誓い」を作成するとのことでした。この中の代表2名が平和記念式典において世界に発信する流れであることを初めて知りました。この系統的そして積み上げていく、みんなで作るといった取り組みが、毎年の発信での堂々とした姿勢や言葉、内容に表れていたのだと、改めて感動するとともに、子どもたちももちろん、この取り組みを支えてきている関係者の皆さんに改めて敬意を表します。

そして、さまざまな事業を貫く「世界恒久平和の実現に貢献する意欲や態度の育成」という目標は、大分市内の学校現場をはじめ、平和教育に関わるすべての方々共通の願いだと思われます。被爆体験者の証言を映像記録として収集し、各幼稚園・各学校における児童生徒の学習教材や教職員・保護者の研修用資料として活用できるよう整理し保存する「平和教育アーカイブス」などは、被爆地ヒロシマだからできる取り組みだと思います。しかしながら、広島市が取り組んでいる「平和を考える集い」、「平和への誓いアクションプログラム」や「伝えるHIROSHIMAプロジェクト」は、各学校の創意工夫はもちろんのこと、視聴覚機器を活用したり、外国語での発信を目指したりと現在の教育課題とも連動した取り組みとなっていて、これらのことは本市でも十分取り組める内容だと思います。大分市でもこれまで各学校、地域で継続してねばり強く取り組んできたことや毎年の8月6日の平和授業や年間計画に基づいた平和教育を守り支援していくとともに、「大分市平和都市宣言」との連携や発展などを行政としても積極的に推進することを望みます。また私自身も発信していきます。