大分市議会議員

甲斐たかゆき

2019年度7月議会の一般質問(2)市立幼稚園のあり方について

2019.08.01

Pocket

2019年度 第2回定例会・6&7月議会 一般質問原稿②

7月 8日(月)  7番目

2.市立幼稚園のあり方について

「市立幼稚園一時預かり事業」について

次に、市立幼稚園のあり方についてお尋ねします。

昨年の第1回定例会でも、市立幼稚園のあり方について質問させていただきました。また複数の議員さんからもこの1年間、様々な質問がされたことも踏まえながら、「大分市幼児教育の振興並びに市立幼稚園及び保育所の在り方検討委員会」での議論そして答申を経て、現在、本市においてどのような方向性が検討されているのか、また本市においてこれまで積み上げてきた質の高い幼児教育が、今後ともどのように保障されていくのか、議論する必要があると考え、取り上げさせていただきます。

これまで子どもすこやか部長より、次のようなご答弁をいただいています。認定こども園については、保護者の就労等の状況にかかわらず利用でき、3歳児からの幼児教育とゼロ歳児からの保育を一体的に提供する施設であること。在園児を対象とした延長保育や未就園児を対象とした一時預かりをはじめ、子育て家庭に向けた遊びや交流の場の提供と子育て相談の実施、子育て中の親子が集う地域の子育てサロンの支援など、地域における幼児教育・保育と子育て支援の拠点施設として、さまざまな役割を担っていくことについても議論してきたこと。また、市立幼稚園の多年制保育や一時預かり事業については、広く関係者の意見を伺いながら検討して参りたいと考えていますとのご答弁でした。

前回の質問でも指摘しましたが、市立幼稚園の園児数減少の一因として、保育料が応能負担となり、市立幼稚園と私立幼稚園とが同一の料金体制になったにもかかわらず、市立幼稚園において保護者ニーズの高い多年制保育や一時預かり事業の導入を積極的に拡大してこなかった点もあると思っています。さらに10月からの「幼児教育の無償化」という国の新たな政策が加わり、保護者ニーズがこれまで以上に多岐にわたり、高まってくるものと予想されます。なお、「幼児教育の無償化」については、その政策の進め方や「無償化」以前に行われなければいけないと思われる課題解決など、多くの問題点が指摘されています。しかし、今回はこの「無償化」に関連する課題については取り上げません。また、「在り方検討委員会」からの答申案を全て容認するわけではありませんが、答申の中にある現在から過渡期、そして未来形に向けて、より子どもたちと保護者、地域の方々の視点に立った議論を積み上げていっていただきたく、これから質問します。

 

まず、「市立幼稚園一時預かり事業」の試行3年間の検証を踏まえた現状について、お聞かせください。

 

☆ 保護者のニーズに応えるために、様々な工夫をされてきた3年間であったことがわかりました。私自身も「一時預かり事業」があることで、その幼稚園に通わせたいと思っている保護者の声を聞きました。

 

多年制保育や一時預かり事業の拡充について

それでは、次の質問をします。多年制保育や一時預かり事業の拡充について、ご見解をお聞かせください。

 

☆ 幼児教育に取り組んでいく上で、多年制保育が重要であること、保護者のニーズからも一時預かり事業は必要な事業であることなど、多くの点が共通認識できたと思われます。人と施設が絡んでいることですし、「認定こども園」設置に向けての過渡期であることなども踏まえ、積極的な導入がなかなか進んでいかない、進めていけない点もあることは理解できますが、現在幼稚園に通っている子どもたち、来年や再来年に幼稚園への入園を検討している保護者の思いや不安、子どもたちの成長は待ってくれません。また、これまでも、現在もこの幼稚園教育を支えてきた教職員の方々は、園児数の減少について、自分たちの働く場の存続と働き方という両面で不安を抱えています。市立幼稚園への入園児が増加することは、待機児童対策にもつながります。ぜひとも多年制保育や一時預かり事業の拡充を積極的に、認定こども園設置に先行して導入していくことを改めて要望し、次の質問に移ります。

 

「幼保連携型認定こども園」設置に向けての構想について

先程までのご答弁などを通して、市立幼稚園でこれまで行われてきた教育の重要性について共通認識ができたと感じています。

幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を担っていると思います。この重要な役割のある幼児教育をこれまで同様に質の高い教育として実践としていくためには、なによりもそこで働く人材が必要です。そして、長期的視点に立った人材の育成が大切だと考えます。先ほどの質問の中でも述べさせていただいたように、市立幼稚園の園児減少が進んでいます。そのことで、幼稚園で働く教職員の方々も先行きに不安を感じています。特に、若い先生たちや臨時講師の方々の不安はさらに大きいようです。これからの幼児教育を担う方々が、不安を感じることなく、希望をもって働き続けるためにも、そして子どもたちに質の高い幼児教育を実践していくためにも、幼児教育の現場で働く人材の確保や育成については、行政の責任で計画的に進めていくべきだと思います。教育基本法の教育行政に対して述べている項でも「地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。」と、その責任を明記しています。計画的な採用や園の体制整備が必要です。これらを今後とも行政が責任をもってやっていただきたい。そして、行政の総合的な支援が欠かせないと考えます。これらのこともふまえて、現在、設置に向けて論議している「幼保連携型認定子ども園」については、大分市がこれまで積み上げてきた「子どもを主体」とした幼児教育をどのように継承、発展させていくのかについても大切な論点の一つであると考えます。

 

そこで質問します。「幼保連携型認定こども園」設置に向けてのこれからの構想をお聞かせください。

 

☆ 設置に向けた整備計画を作成する前段階として、基本的な考え方を検討するために、現在、庁内の関係部署と協議を重ねている段階であることがわかりました。その協議の中では、大分市がこれまで積み上げてきた「子どもを主体」とした幼児教育をどのように継承、発展させていくのかといったことも、これまでと同様に大切にされ、しっかりと協議を重ねていってください。

 

最後に、市立幼稚園の今後のあり方について要望を付け加えます。

大分市立幼稚園及び保育所の在り方の方針には、市立幼稚園の整理統合の基準も提示されていました。現在、この基準に従って、休園している園があります。これら休園している園などへの対応が、これまでにも増して、今後、とても重要になってくると思います。関係する保護者の方々はもちろんのこと、関係する地域や住民の方々への丁寧な、そして時間をかけての説明は、対応の基本となることだと指摘しておきます。「基準」ありきの「自動的な処置」ではなく、それぞれの地域性、地理的な状況、設立時の経緯やその後現在に至るまでの経過などを踏まえた対応を、保護者や住民の方々、当然のことながら子どもたちの笑顔のためにつながる対応を、繰り返しになりますが、丁寧な地元説明を強く要望し、私の質問を終わります。