大分市議会議員

甲斐たかゆき

2018年度12月議会の一般質問(1)災害対策について

2018.12.07

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2018年度 第4回定例会・12月議会 一般質問 甲斐高之 資料

12月7日(金)8番目

 

1.災害対策について

①避難所の生活環境改善策について

 まず冒頭に、本年、各地で発生した地震や豪雨による自然災害で被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられました方々のご冥福を改めてお祈り申し上げます。

 最大震度7を記録した北海道地震をはじめ、西日本での豪雨、列島各地を襲った台風など日本各地で近年、自然災害が相次いでいます。これら災害が起こったときに住民のみなさんが身を寄せる場所が避難所です。テレビでもよく報道されますが、日本の避難所は体育館の床の上に大勢の避難者が「雑魚寝」状態で避難生活をおくっています。新潟大学の榛沢(はんざわ)和彦特任教授は、「欧米と日本の避難所の決定的な違いは簡易ベッドの使用です。」と話しています。雑魚寝状態の生活では、床で体が冷えたり足音や振動が伝わりやすく不眠になったりするなど、心身へのリスクも指摘されています。榛沢さんは、2004年の新潟県中越地震で、車中泊や避難所での雑魚寝によってエコノミークラス症候群が多発し7人が死亡したことを契機に、各地の避難所で調査と予防活動を実施しています。「長期化した避難所で検査すると、どの避難所でも脚の血栓は10%以上の頻度で見つかっている」と報告しています。また、2015年の鬼怒川の氾濫(はんらん)では、茨城県常総市の避難所のうち、簡易ベッドを置いた避難所では、足の静脈に血栓が見つかる割合が低かったとのデータもあります。さらに土砂災害のあった近くでは砂ぼこりが多くなりますが、床から30センチ高く寝ることで、ほこりを吸い込む量が3割ほどになり、肺炎や胃腸炎などのリスクが減るという報告もされています。2016年、内閣府の避難所運営ガイドラインでも、継続的な避難者に対し「簡易ベッドの確保を目指す」と明記するなど避難所の生活環境改善が図られようとしています。私自身、これまでも避難所の生活環境改善について度々質問をさせていただきましたが、多発する自然災害に対して、いのちと健康を守る避難所となることを願い、今回も取り上げさせていただきました。

 

それでは質問します。血栓症予防に有効な対策として、各地で検討、整備されている段ボールベット等の本市の整備状況について、お聞かせください。

 

災害が起こらないことが一番の願いですが、いざという時の備えとして、県との連携や国の「プッシュ型支援」と呼ばれるものを取り込みながら、今後ともいのちと健康を守る避難所として、他の自治体の整備の参考となるような大分市の整備状況を維持・向上していってください。

 

先ほどご答弁をいただいた避難所の生活環境改善に関する整備状況、特に段ボールベッドなどの整備状況を市民のみなさんに広報することで、事前の安心につながると考えますが、本市のこれまでの活用事例や研修方法などについてお聞かせください。

 

今後とも段ボールベッドなど大分市が災害に備えて備蓄している資機材を活用することができる研修や訓練の場を増やしたり、資機材を実際に展示する機会を増やしたりするなど市民のみなさんに認知していただくことも大切だと考えます。このように活用事例を広報することで、避難所生活に対する不安が減少され、安心の輪が広がり、早期の避難につながっていくと思います。また大分市の職員の方々が研修を受けられ、段ボールベッドなどの設置について実践を積まれていることをとても心強く感じました。

 

②避難所の整備に対する基準について

 さて、避難所の整備を話題にする上で、「スフィア基準」という言葉を近年、報道でよく聞くようになりました。これは、日本語での正式名称は「人道憲章と人道対応に関する最低基準」と呼ばれるもので、1998年にNGOと国際赤十字などの運動で作られた人道支援の国際的な基準です。メディアで報道され始めた段階で、「トイレの数は女性用が男性用の3倍」的な数値の基準的なものとして紹介され、その内容がとてもキャッチ的なものだったので、瞬く間に広がり、避難所の改善に大きく影響を及ぼしたと評されています。しかしながら、「スフィア基準」には、その根幹にある信念として、「尊厳ある生活への権利」「人道援助を受ける権利」「保護と安全への権利」の3つの権利を人道憲章として掲げています。詳しい説明は略させていただきますが、「被災した人々の意見」を聴くという姿勢、被災者への説明を重視するということが大切にされ、あくまでも基本理念にそったものをいかに実現していくか、そのために数値化されたものが例示として出されていると、今回改めて「スフィア基準」を調べ直し、まだまだ不十分ではありますが、私なりに理解させていただきました。そして、その理念、基準の考え方などに敬服したところです。

 

そこで質問します。人道支援の国際的な基準として「スフィア基準」が設定されているが、本市はどのような基準、考え方で避難所の整備をすすめてきているのかお聞かせください。

 

これからも、ご答弁いただいた考え方のもと、実際に避難された方々が不安を感じていることや数値的に実施できないものがあれば、何が障壁になっているのかを避難者や運営に関わっている多くの方々に問いかけ、特に避難された方々への説明責任を果たしながら、常によりよい避難所の生活環境を目指して欲しいと願います。このことを避難された方々とともに取り組んでいける避難所の運営体制づくりを改めて要望し、次の質問にうつります。

 

③防災士に対する取り組みについて

 10月15日の大分合同新聞に「防災士1万人突破へ」の見出しで、県内の有資格者が現状でも全国トップクラスであることが特集記事として掲載されていました。育成が進んでいる一方、「具体的な活動をする機会がない」という人も多く、「宝の持ち腐れ」の回避が必要で、地域や組織で活躍できる場をつくる工夫が大切であるとの指摘をしていました。記事の中に防災士の市町村別の数も掲載されていましたが、大分市で防災士となっている方は2966名と記されていました。これは県全体の防災士数のおよそ3分の1となり、記事の中で課題として指摘されたことに対して、大分市の取り組み内容が、県全体に与える影響は大きなものがあると思います。

 

そこで質問します。防災士の方々に対する本市の取り組みの現状をお聞かせください。

 

防災士の資格を取られた方々が、やりがいを持ち続け、地域防災のリーダーとなれるように今後とも大分市がサポートしていっていただきたいと思います。

私事になりますが、2週間ほど前に防災士資格取得のための二日間の研修と試験を受け、先日、無事合格の通知をいただきました。私自身も諸先輩方とともに地域の中はもちろんのこと、大分市の取り組みの中で、研鑽を積んで行かねばならないと決意も新たにしているところであります。防災士協議会がより多くの校区で結成されるよう、行政として何ができるのか、今後とも大分市の防災士と連携をされることを改めて要望し、次の質問にうつります。