大分市議会議員

甲斐たかゆき

2018年度3月議会の一般質問(1)公共交通について

2018.06.25

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2018年度 第1回定例会・3月議会 一般質問 甲斐高之 資料

3月19日(月)1番目 10時~

 

1.公共交通について

①地区内循環バス実証運行について

昨年の8月中旬にJR九州が大分エリアにおける「スマートサポートステーション」の導入を検討していることを明らかにして以来、今日まで、さまざまな不安の声が上がっています。特に、障がいのある方々や高齢の方々からの声が多く上がっています。また、本市の取り組んだ減便に対する意見集約にも多くの意見が書き込まれたり、駅の無人化に反対する集会が行われたりしました。この間、市議会としてもJR九州に要請書を提出しました。それらすべての取り組みや声の結果として、2月中旬にJR九州から牧駅を除く7駅の無人化を当面先送りすることが発表されました。ただし、2駅は今年の秋にも無人化し、残りの5駅についても、引き続き検討するとしています。そしてこれは、現状の駅員さんのいる駅が保障されたわけではなく、当面の間、無人化が見送られただけという状態なのだと認識しています。引き続き、公共交通としての役割や社会的責任を果たしているのか、合理的配慮への対処などはどのようになっているかなど、JR九州の動向に注視していかなければならないと思います。ただ交通事業者側だけに、これからの公共交通のあり方、責任を求めるわけにはいかない現状もあると思っています。そこで、これまでの半年あまりの間に論議されたことをこれからに活かしていくため、今回の質問では、公共交通の利用を促進するためにはどうすればいいのかを取り上げたいと思います。

まず、公共交通のもう一つの手段であるバスについて、その中でも地区内循環バスについて取り上げます。本市では、2月15日から稙田地区で循環バスの実証運行を始めています。以前から地区内の循環バスについては、地域の方や高齢者の方との話しの中で、「病院や買い物に行きやすくなる」とか「最寄りの駅に行くのに便利になる」など、地区内循環バスに対する要望の声を聞いていました。住民の足を再構築する上で、これからとても大切になるのが、地区内循環バスだと思います。

 

◎そこで質問します。今回の実証運行についてお聞かせください。

 

◎実証運行に至るまでに多くの協議を重ね、ご苦労があったこともわかりました。それら課題を交通事業者と相談、検討していき、今回の実証運行にこぎ着けたことに対して感謝申し上げます。実は、今回の実証運行のバスを地域のみなさまがどのように利用しているのか調査するために私自身も乗車してきました。地域内の団地を通った後、国道10号線に出てからは中心部までノンストップのバスに乗りました。1月に開通した宗麟大橋を通り中心部に向かうため、通常より5分から8分ほど早く大分駅まで着くと運転手さんも話していました。当日は、病院利用の方も乗られていました。多くのことが検証できる今回の取り組みだと感じました。しかしながら大分市にはさまざまな交通事情を抱えた地域がたくさんあります。今回の路線だけでは、検証できない点が当然のことながら多くあると思います。

 

◎そこで質問します。新年度の循環バス実証運行をどのように展開していくのかお聞かせください。

 

◎駅に限らず、それぞれの地域の事情を考慮した地区拠点を中心とした循環バスを展開することになっているようで安心しました。私も居住している地域や勤務したことのある地域で、多少なりとも地域事情がわかりますが、それぞれ異なる実証運行になるようで、今からどのような路線になり、地域のみなさんがどのように利用していくのか楽しみです。

 

◎そこで質問します。平成29年度と平成30年度の実証運行の結果をどのように活用していくのか見解をお聞かせください。

 

◎複数の地域で得られた実証運行の結果が、他の地域でも活かされて、更なる実証運行の路線が増えることを期待しています。また、実証運行で終わらずに、本格運行への移行なども視野に入れ、地域の方々のニーズに合った路線の定着に向けて取り組んでいっていただきたいと思います。そこで問題となるのが、現在ある路線との関係だと思います。過去の例を振り返りますと、利用者が減り、廃止されてしまった路線については、仮にその後必要性が高まったとしても、改めて路線として復活させることは難しいようです。このあたりのことについての対処として、本市は29年度に、ふれあい交通をより利用しやすくなるように制度改正をしたとうかがっています。ふれあい交通の充実は周辺地域の方々にとっては地域の足として大変意義のある事業だと感じます。しかし、できるならば廃止路線がなく、地域内循環バスとの連動でより利用性が高まることが理想だと思います。

 

◎そこで質問します。現在ある路線の確保に向けて、どのような対策を講じていくのかお聞かせください。

 

◎国の補助事業である「地域公共交通確保維持事業」を活用し、現在ある路線の確保・維持に努めようとしていることがわかりました。対象となる路線はもとより、補助要件を満たさない路線に対しても何らかの対策が講じられるように、今後とも交通事業者と協議しながら、調査・研究を継続していくことを要望し、次の質問にうつります。

 

 

②駅のバリアフリー化について

バスの次に公共交通として取り上げるのは、鉄道交通です。だれもが安心して利用できる駅が、駅を利用するすべての人の願いです。前段でも述べましたが、今回のJR九州のSSS導入先送りは、当面の間の対応であり、無人化が引き続き検討されていることに変わりありません。昨年の第4回定例会でも質問させていただきましたが、駅に人がいるからこそ安心・安全が保たれ、そこに人が集い、笑顔が生まれると思います。SSSは、「スマートサポートステーション」の略称ではなく、「スマイルサポートステーション」という駅本来の姿と捉えるべきだと思います。そして駅に人が集う、そのためには、駅の利用促進を図ることが大切です。鉄道交通の利用促進を図ることの大きな手だては、笑顔の人が集まる駅、つまり利用しやすい駅。それはバリアフリー化された駅のことです。駅に限らず、鉄道交通が、「地域の足」となり、安全を最優先に考え、「人にやさしい鉄道交通」となることが大切だと思います。さまざまな立場の利用者にとって安心・安全な駅にするのは、SSSの導入ではなく、バリアフリー化が最優先されるべきです。

 

◎そこで質問します。駅のバリアフリー化事業の今後の計画についてお聞かせください。

 

◎新年度からの事業について詳しく説明していただき、ありがとうございました。昨年度までの事業に、新たに大分大学前駅の事業が加わり、本市がバリアフリー化の推進を図ろうとしていることがわかりました。しかしながら、現状のバリアフリー化推進事業は、平成32年度までに1日の平均利用者数が3000人以上の駅が対象です。このまま平均利用者数を基準にしていたのでは、整備されていない駅から、ますます利用者が減少していくままです。私自身も利用者数をJR九州が調査したデータをもとに確認したところ、現状の基準のままでは、今後バリアフリー化推進事業の対象となる駅は、大分市内にはありません。私の居住地域にある中判田駅も利用者が年々減少しています。隣の大分大学前駅を利用している人が増えています。理由ははっきりしています。中判田駅のホームに階段があるからです。高齢の方、障害のある方は利用しにくいのが現状です。利用したくても利用できないのです。大分市内にあるすべての駅の利用を促進するには、まず各駅の課題となっているバリアを解消すること。そのために、障がいのある方々からの意見要望を真っ先に聞くこと。基準を設けるのではなく、まず先にバリアフリー化を行い、より利用しやすい駅、安心・安全な駅として整備し、ダイヤ改正などの工夫と相まって、効果を上げていくようにするのが、本来あるべき手順だと思います。県や国に対して、バリアフリー化推進事業に対する利用者数基準の撤廃もしくは緩和を求めることを強く要望し、次の質問にうつります。

 

 

③駅を中心とした交通結節機能の強化について

バス交通、そして鉄道交通それぞれの利用促進を図るために質問してきましたが、最後は、それらを絡めた駅を中心とした交通結節機能の強化についてです。私自身、この「交通結節機能」という言葉が少し難しく感じますので、勝手に言いかえますが、「交通機関を利用しやすくするしかけ」だと思っています。しかけの一つは、駅周辺の駐車場です。駅周辺には利用料金の安い駐車場が存在しないことが駅利用の減少の一因となっていると思います。ここで旅行を例にして考えてみます。大分空港を利用し他都市に2泊3日の旅行に出かけたとします。旅費はおおむね10万円程度。大分空港の駐車料金は24時間500円。ですから2泊3日で1500円ほど。旅費10万円に対して1500円の駐車料金なら合理的価格帯だと思います。この価格に比較して大分駅周辺の駐車料金はどうでしょうか。日中で500円から800円。24時間なら2000円近くになることもあるのではないでしょうか。JRを使って他の都市に日帰り旅行したとすると、旅費は多くても2万から3万円でしょう。この総予算で、駐車料金が2000円近くになると、旅費の1割をしめる計算となります。大分空港で、10万円の旅行をしたときに駐車料金を1万円請求されたら、駐車場使用を考え直しますとなりませんか。これと同じことが大分駅周辺で起こっているのではないでしょうか。今の事例は極端な例かもしれませんが、大分駅周辺に限らず、中心部は駐車料金が結構高額です。ただし、JRおおいたシティ駐車場では、駐車場や時間の制約はあるものの、特急券や新幹線利用者への駐車料金割引や長時間割引などのサービスがあります。周辺の駅に目を向けますと、ほとんどの駅で十分な駐車場が整備されていません。もしくはまったく駐車場がない駅もあります。駐車場がないからバスで駅に行こうとしても、利用できる便がないといったことも多いようです。この点は、一つ目の質問で取り上げた地区内循環バスに期待しているところであります。交通機関を利用しやすくするしかけ作りに話しを戻します。駅などの駐車場の整備だけでなく、朝夕の通勤通学利用者の送り迎えをする車に対応する停車スペースの確保もしかけ作りの一つだと思います。また先ほども話題にしましたが、地区内循環バスやタクシーが停まれるスペースの確保なども利用しやすくするしかけであると考えています。

 

◎そこで質問します。駅前広場の整備状況についてお聞かせください。

 

◎駅前広場の整備状況として、5カ所が完成していて、7カ所が未整備の状況であることがわかりました。区画整理事業など、さまざまな要因と関連しているために時間のかかる駅前広場の整備だとは思いますが、公共交通の果たす役割の大きさ、将来の利用促進のためにも、できるだけ早い整備の実現を期待しています。それでは、次の質問にうつります。

 

公共交通の利用を促進するためには、バス交通、鉄道交通、そこにマイカーの利用を絡めて考える必要があると思います。さらに、マイカーついては、マイカーを利用しない人、あるいは利用できない人の「生活の足」をどのように確保し、それを維持するための方策として、どのような手段が考えられるかを行政が、交通事業者と共により真剣に未来を見据えて、考える段階にきていると思います。特に周辺地域におきましては、一つの交通手段では、移動の際に「生活の足」とはなりにくく、マイカーと公共交通、バスと鉄道などと、交通手段を組み合わせての利用が必要となっています。また、将来的には、鉄道交通に対しても、バス交通のような「ワンコイン」的な利用の仕方も検討する必要があると感じています。鉄道交通の持つ「定時制」つまり道路渋滞などに影響されない、時間の正確さや速さが、周辺地域の住民にとっては大切なポイントです。実際、そういったご意見も多くいただいているところであります。以上申し上げた点も含めて、「大分市地域交通網形成計画」に基づき、交通結節機能の強化に向けて、交通結節点周辺の基盤整備や路線バスの運行強化、地区拠点を中心とした循環バスの導入、公共交通相互乗り継ぎの円滑化やパークアンドライドなどの取り組み推進なども論議する必要があると考えています。

 

◎そこで質問します。駅の交通結節機能の強化に関する考え方についてお聞かせください。

 

◎今、答弁していただいた考え方に基づき、さまざまな対策が講じられていることがわかりました。これら対策を今後とも継続そして進化させていくことが、自動車運転免許の返納促進にもつながり、家庭や地域、ご本人にとっても安心・安全な生活に結びついていくと思います。未来を見据えたさまざまな事業の展開と検証を改めて要望します。また、これからの公共交通のことについての論議は、全体としては、「大分市地域公共交通協議会」の中で行っているようですが、地区ごとに課題や状況に違いがあります。この後の質問とも関連しますが、ぜひとも支所単位で、「地域版公共交通協議会」的なものを行政の主体で立ち上げ、5年後、10年後を見据えた公共交通網を地域の声を活かしながら展開されていくことを要望します。そして、3月17日より実施されたJR九州の牧駅などでのSSSの導入やダイヤ減便などに対して、これからさらに出てくると思われる利用者の方々や地域の方々の声を大切にしながら、継続して調査、検証していくことを強く要望し、次の質問にうつります。

 

執行部側の答弁も含めて、大分市議会による議事録はこちらでご覧いただけます